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伏見人

中村奈緒さん(深草酒場 糸~ito~/女将) vol.270

「あなたは、あなたのままでいい。」深草酒場 糸~ito~の女将がつくる、心がほどける居場所


伏見稲荷の住宅街の中にある「深草酒場 糸~ito~」。

 

ここには、おいしい料理やお酒だけではない、人を惹きつける温かさがあります。


「みんなが安心して帰ってこられる場所をつくりたい」。

そう話すのは、お店を切り盛りする女将の奈緒さん。

お客様一人ひとりと真心で向き合い、ありのままの自分で過ごせる空間を大切にされています。

 

今回は、そんな奈緒さんに、お店への想いや人との向き合い方、そして生まれ育った伏見の魅力についてお話を伺ってきました。

Q1. どんなお仕事/活動をしていますか?

「おかえり」と迎えられる、みんなの居場所をつくる。

 

伏見稲荷の近くで「深草酒場 糸~ito~」という居酒屋を営んでいます。

私がこのお店で一番大切にしているのは、みんなが安心して帰ってこられる場所をつくることです。

 

居酒屋なので、もちろん料理やお酒を提供するのが仕事です。

でも、私にとって料理は、お客様に幸せを感じてもらうための手段のひとつなんです。

 

ここに来たときくらいは、肩の力を抜いて、ひとりの人間としてありのままでいてほしい。
「あなたは、あなたのままでいいよ」。
そんな気持ちで、毎日お客様を迎えています。


だから、料理を考えるときも「何を食べてもらおうかな」ということだけではなく、「どうしたら心も体も緩んで、幸せな気持ちになってもらえるかな」と考えています。


私の役割は、ただ料理をつくることではなく、ここに来た人がほっとできる時間をつくることなのかもしれないです。

祖父母の店から継いだ秘伝の出汁がしみ込んだおでん

ほろほろほどける、牛すじ煮込み

Q2. 大切にしていること/こだわり

「真心」とは、相手の幸せを心から願うこと。

 

人と接するときに大切にしているのは、「真心」です。
でも、真心って簡単に使える言葉やけど、本当はすごく難しいものなんですよね。

 

同じ言葉をかけたり、同じことをしたりしていても、その奥にある気持ちが違えば、相手への伝わり方も変わってくると思うんです。

 

私が大切にしたいのは、目の前にいる人に、本当に幸せになってほしいという気持ち。

心からリラックスして、豊かな気持ちになってほしい。

 

そういう想いは、言葉にしなくても自然と相手に伝わるものだと思っています。


実際にお客様からも、私のそういう気持ちが伝わるからここに来ている、と言っていただいたことがあって。

その時は本当にうれしかったですね。


私自身、これまでの人生で、人との関わり方や自分の心について、たくさん考えてきました。
誰かに愛されたい、認められたいという気持ちから、知らず知らずのうちに自分を偽ってしまうこともあると思います。


でも、それでは自分自身が苦しくなってしまう。

 

だからこそ、まずは自分の心と向き合って、自分が本当に大切にしたいことを知ること。

そして、相手にも自分にも嘘をつかずに接することを大事にしています。


誰かのために何かをすることと、自分自身を大切にすること。そのどちらも忘れずにいたいですね。

Q3. 伏見のココが好き!!

祖父母が営まれていた『お食事処 稲福』。奈緒さんの原点の場所

人の温かさと、幼い頃の思い出が残るまち。

 

伏見は、私が子どもの頃から慣れ親しんできた場所です。


昔は今よりもずっと、ご近所同士の距離が近かったように思います。
近所のおばちゃんが当たり前のように声をかけてくれたり、みんなが家族みたいな感覚で暮らしていたり。

 

今はまちの様子も変わりましたが、伏見の人って、根っこの部分は温かい人が多いと思うんです。

 

自分から積極的に声をかけるのは少し苦手でも、困っている人がいたらちゃんと気にかけてくれる。そんな優しさがあるまちやと思います。

それから、私にとって伏見稲荷大社や稲荷山は、観光地というよりも子どもの頃の遊び場なんです。


昔は今ほど観光客も多くなくて、稲荷山に住んでいる友達の家へ遊びに行ったり、山の中を走り回ったりしていました。
誰もいない山の中で自然に囲まれていると、なんだか自分も自然の一部になったような、不思議な感覚があったんです。


今でも、あの頃の感覚は心に残っています。


最近は海外からのお客様も増えましたが、せっかく京都に来てくださったのなら、いい思い出を持って帰ってほしいなと思っています。

 

お店では、海外からのお客様が地元の常連さんにおすすめの場所を聞いたり、京都の人しか知らないような情報を教えてもらったりすることもあるんです。
そういう交流を見ていると、すごくいいなと思います。


ただ観光するだけではなく、京都の人と触れ合って、「京都に来てよかった」と思ってもらえたらうれしいですね。

Q4. オススメのお店・場所

自分を休ませたいときに訪れる「チャールズ611」さん。

 

おすすめのお店は、深草酒場 糸~ito~の裏にある「チャールズ611」さんです。


ちょっと休憩したいときや、自分を休ませてあげたいなと思ったときに足を運んでいます。


特に好きなのは、スパイスカレー。

あとは、月替わりで登場するサラダランチもお気に入りです。


サラダがメインでも、しっかり満足できるおいしさなんですよ。
お店の方も素敵な方で、私にとっては、ほっとひと息つける大切な場所のひとつです。

 

それから、場所という意味では、やっぱり稲荷山もおすすめですね。
伏見稲荷大社は観光客の方でにぎわっていますが、私が好きなのは、山の中で自然を感じられる時間です。


観光で訪れる方には、比較的人が少ない早朝に参拝することもおすすめしています。

 

有名な観光スポットとしてだけではなく、自然の豊かさや、静かな時間も感じてもらえたらいいですね。

Q5. 今後の目標

自分のペースで、これからも挑戦を続けていきたい。

 

今後の目標ですか……。難しいですね。笑


いろんなことに挑戦し続けていきたいという気持ちはあります。

でも、ずっと頑張り続けるのもしんどいなと思う自分もいるんです。

 

だからといって、何も変わらずにずっと同じままでいいかと聞かれたら、それも違う気がして。


何かを始めるときって、できなかったらどうしようとか、最後までやりきれるかなとか、いろんな気持ちが出てくると思うんです。
でも、最初から完璧を目指さなくてもいいんですよね。


100点じゃなくても、まずは60点でもいい。

小さなことでも、やってみたという経験を積み重ねていくことが大切なんだと思います。


私自身も、自分の気持ちと向き合いながら、これからもいろんなことに挑戦していきたいですね。

Q6. まいぷれスタッフ独自調査中!最後の晩餐に食べたいものは?

母の味

 

この質問も悩みますね。笑

 

けどやっぱり、母の「お漬物」と「お茶漬け」かな。

母が漬ける、ぬか漬けがほんとにおいしくて。

 

お茶漬けもすごく好きな味で、よく作ってもらってました。

いつ食べてもほっとする味で。

あ、うちのお茶漬けは玄米緑茶を使って作るんですけど、お茶漬け用に玄米緑茶のストックもありました。笑

 

最後は結局、いつもの落ち着く食事がいいかなぁ。

【編集コメント】

 

「あなたは、あなたのままでいい」。
ななさんのお話を伺っていると、その言葉が単なる優しい言葉ではなく、ななさんが今までにさまざまな経験を重ね、人との向き合い方を考えてきたからこそ生まれた想いなのだと感じました。

 

深草酒場 糸~ito~さんは、お料理やお酒が美味しいのはもちろんなのですが、ななさんの人柄の良さがすごく出ているお店でいつ行っても居心地がとても良いんです。


おいしい料理を囲みながら、笑ったり、話したり、ときには心の内を打ち明けたり。
そんな何気ない時間の中で、ふっと肩の力を抜ける場所なのかもしれません。

 

誰かと話したい日も、ちょっと心を休ませたい日も。
伏見稲荷のまちにある温かな居場所を、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

(取材 あっかーまん)

深草酒場 糸 ~ito~

居酒屋 / おばんざい屋

人がつながる、深草のぬくもりおばんざい酒場

京都市伏見区深草野手町25番地

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。