地元暮らしをちょっぴり楽しくするようなオリジナル情報なら、京都の地域情報サイト「まいぷれ」!
文字サイズ文字を小さくする文字を大きくする

京都の地域情報サイト「まいぷれ」

伏見人

成宮 優さん(有限会社 成宮工務店/代表) vol.259

暮らす人の"気持ちよさ"を直感的に捉え、心地よい空間をつくり出せる感性豊かな人


伏見区を拠点に、木造建築や京町家、古民家の再生を手がける成宮工務店代表の成宮さん。


古いものを壊すのではなく、活かして次につなぎたい

 

そう語る姿からは、建物だけでなく“人の暮らし”そのものを大切にしている想いが伝わってきます。

近年は建築の枠を超え、認知症予防やこれからの住まいのあり方にも目を向け、新たな挑戦を始めています。

伏見で生まれ育ち、伏見の空気を知り尽くしたからこそ語れる言葉に、思わず耳を傾けたくなる「伏見人」です。

Q1. どんなお仕事/活動をしていますか?

今ある素材を大切にした、京町家や古民家のリノベーション

 

木造建築が専門で、その中でも京町家や古民家といった、古い建物の改修やリノベーションをしています。

 

店舗も住宅もどちらも手がけていますし、「頼まれたらどこでも行く」というスタンスなので、伏見区に限らず、府外まで行くこともあります。

 

一時期は酒蔵の改修にも関わらせてもらっていたので、長野県や滋賀県まで行っていました。

 

酒を造るだけではなく、「どう売るか」「どう人を呼ぶか」まで含めた場づくりが必要で、飲食店を併設したり、バイヤーさんが来られる空間をつくったり。

建物を直すというより、事業そのものを再生する感覚に近かったですね。

 

最近は一般住宅のご相談も多いです。
「おしゃれにしたい」というより、「傷んできたところを直したい」「これからも安心して住みたい」という声が多くて、水回りや間取りの相談が中心です。

こだわりの無垢一枚板が主役の京町家モダンキッチン

木の表情を生かしたトイレ

Q2. 大切にしていること/こだわり

あり続ける古材を生きた形で

 

こだわりは、沢山あります。

 

まず、中学生の頃、漫画『硬派銀次郎』を読んだことがきっかけで、大工という仕事に憧れを抱きました。

勢いのまま「中学を出たら大工になる!!」と両親に相談しましたが、当然のように反対され、地元の高校へ進学。それでも夢をあきらめることはできませんでした。

 

高校卒業後、両親の紹介で遠い親戚にあたる左京区岩倉の工務店へ。

住み込みで働く、いわば昔ながらの丁稚奉公です。


3人の弟子が一つ屋根の下で暮らし、同じ釜の飯を食べ、寝食をともにする毎日。今では想像もつかないほど厳しい世界でした。

両親は「つらいなら帰っておいで」と声をかけてくれましたが、当時の自分は「なにくそ、負けるか」という気持ちで必死に踏ん張っていました。

きっと親はその必死さの裏にある苦労を見抜いていたのかもしれません。

 

18歳で丁稚として入り、23歳で年季明け。
そして29歳で奉公を終え、30歳で独立。

ようやく地元・伏見に帰ってくることができました。

 

独立当初は、子どもの頃によく遊んでいた横大路の借家を親戚から借りて仕事をスタート。

仲間たちに助けられながら歩みを進め、ご縁に恵まれて丹波橋に事務所を構えることができました。

 

厳しく育ててくれた師匠は、昔気質の職人で、感謝を言葉にするような人ではありませんでしたが、あるとき一度だけ「ありがとうございました」と伝えに行ったことがあります。2025年に亡くなってしまいましたが、今でも、心の中は感謝の気持ちでいっぱいです。

厳しい修行をしていた若かりし頃

古いものを、むやみに壊さない

 

丹波橋を拠点に、私たちが大切にしているのは、「古いものを、むやみに壊さない」という考え方です。

使える柱や梁、建具があるなら、できるだけ残し、再利用する。

 

棚板にしたり、床材にしたり、形を変えて次の役割を持たせるのです。

 

正直に言えば、そのほうが手間も時間もかかります。

ホームセンターで新しい材料を買ったほうが早いこともあります。

 

それでも、ただ産業廃棄物として捨ててしまうのではなく、
その建物が積み重ねてきた時間や歴史を、次へとつないでいきたい。

 

テレビのリフォーム番組のように、今あるものを生かして新しく生まれ変わらせる。そんな発想にも通じるものがあると思います。

ただ、私たちは「すべて任せてもらって完成形を見せる」というやり方ではありません。
お客様と対話を重ねながら、一緒に空間をつくっていくことを大切にしています。

 

その人にとって本当に必要な場所とは何か。
長く大切に使ってもらえる住まいとは何か。

 

それを一緒に考えながら、形にしていく。
それが、私のこだわりです!!

Q3. 伏見のココが好き!!

伏見ならではの土地柄や空気感

 

僕は伏見生まれ伏見育ちです。

 

伏見はエリアごとに空気が全然違っていて、それが面白いんですよね。

人情味があって、ちょっと賑やかで、祭り好き。

 

良い意味でごちゃっとしている感じが、僕は好きです。

歴史もあって、お酒もあって、人がちゃんと暮らしているまち。

「伏見市があってもええのに」と本気で思うくらいです。

Q4. オススメのお店・場所

子供の頃から慣れ親しんだお好み焼き

 

中書島にあるお好み焼き屋「さかえ」は、昔ながらの味でよく通っています。

子どもの頃の記憶や、店主さんの想いが詰まったお店で、食べるとほっとするんです。

 

家ではなかなか出せない味なので、「今日は濃いめのお好み焼きが食べたいな」という時にぴったりですね。

Q5. 今後の目標

建築会社として、できることをやっていきたい。

 

これから力を入れていきたいのが、「認知症予防」と住まいを結びつけた提案です。


僕はお医者さんではないので、治療はできませんが、予防や進行を遅らせることはできる。

 

建築の立場から、まだ元気な50代・60代の方が、家の中で自然に体を動かし、刺激を受けられる空間をつくれたらと思っています。

 

趣味の部屋、料理にこだわったキッチン、音楽を楽しめる空間。
「好きなことを続けられる家」は、生きる力につながると感じています。


自分自身の病気や家族との別れを経験したからこそ、「人間らしく生きる」ための住まいを考え続けたいですね。


Q6. まいぷれスタッフ独自調査中!最後の晩餐に食べたいものは?

めっちゃ美味しいウナギ

 

悩みますねぇ。

でもやっぱり最後は、「めっっっちゃ美味しいウナギ」が食べたいです。

 

若い頃に、千葉か東京かどこかわからないんですが、お土産で貰ったウナギの蒲焼きがすごく美味しくて、一人で食べて、親に怒られました。笑

 

お茶漬け用だったのかな?味がすごく濃くて、タレがしみ込んでて、あれがほんとに忘れられない程美味しかったです。

 

やっぱウナギは美味しいので、最後はウナギですね。

【編集コメント】

 

建築の話から人生観まで、ひとつひとつの言葉に重みがありました。
伏見の歴史と人を知り尽くしたからこそ生まれる、あたたかな視点。


このまちで暮らす未来を、そっと支えてくれる存在だと感じる素敵な「伏見人」でした。

 

美味しいウナギやお好み焼きの話のシーンでは、ワクワクでお話ししてくれて、そのギャップもまた成宮さんの良さなのかなと。笑

 

素敵なお話をたくさん聞かせていただき、ありがとうございました。

 

(取材 あっかーまん)

有限会社成宮工務店

工務店

住まいの可能性を最大限に活かす、誠・志・温度のある工務店

京都市伏見区京町6‐70‐1

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

人気のキーワード