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伏見人

桂文也さん(落語家/公益社団法人 上方落語協会 理事) vol.200

笑いと革新的な視点で伏見の活性化に一石を投じる、桂文也さん☆


本日の伏見人は、京都市出身の落語家であり、コピーライターや講演者としてもご活躍されている桂文也さんにお話を伺いました。

 

伏見区での活動としては現在、『伏見寄席』という名称で、年に数回寄席を興行されています。

そんな伏見寄席ができた経緯や、落語に対する思い、さらには新たな伏見の展望まで、盛りだくさんにお話頂きました。

Q1. どんなお仕事/活動をしていますか?

古典落語を中心に、幅広く活動中!

『大手筋寄席』時代の様子。

伏見大手筋商店街からスタートした、京都の定席寄席への道

 

噺家として活動を始めて、もう50年以上になります。

大学に入学して落研(落語研究会)に入り、すぐに落語の世界にのめり込みました。

 

朝一で部室に行っては、ずーっと落語のことばっかり考えて過ごしていましたね。

え、大学の授業ですか? 授業は2回しか出てないです。

3年で中退してるんですが、それまでに8単位しか取れてないですね。その代わり、落語の研究は誰よりも真剣に取り組んでいましたよ。

 

それから、大学は3年の時に中退して、21歳の時に五代目 桂文枝(当時 桂小文枝)に入門しました。

 

伏見寄席を始めることになったきっかけは、有限会社エムエーオーの髙橋正雄さんとの会話です。

 

「京都でこんなに賑わっている商店街は、伏見大手筋商店街だけ! だから、落語でもっとこの地域を活性化させませんか? 京都には定席の寄席がないので、この商店街から始めましょう!」

 

髙橋さんの熱い思いに感化され、伏見区の中小企業の有志の方の協力も得ながら、2017年に伏見大手筋商店街の中にある大手筋ギャラリーにて、まずは『大手筋寄席』をスタートさせました。

 

現在は、場所を御香宮神社参集殿に移し、デンキの病院 長嶋屋株式会社の長嶋さんを筆頭に、『伏見寄席』と名称を変え、年に3回ほど開催しています。

Q2. 大切にしていること/こだわり

懐かしの大手筋ギャラリーを見に来ました。この日は閉まっていて残念。

伏見大手筋商店街は今日も変わらず賑わっています!

演じる側も見る側も、落語を楽しむための一工夫を

 

できるだけ分かりやすく喋るよう心掛けています。

特に現代はテレビで時代劇を放送していないので、若い人には昔の時代背景が伝わりづらいことが多々あります。

落語では、扇子を刀やお箸に見立てて人物描写を行うのですが、時代劇を見ていなかったら刀を抜く動作をしても伝わらないんですね。

だから、言葉での説明を一言添えたりもします。

 

そんな時代背景もあって、『伏見寄席』では、演目を事前にお伝えするようにしています。演目をインターネットで調べてもらったら、大体のあらすじが出てくるので、事前に調べておいてもらうことで、もっと落語を楽しめるようになると思います。

 

「今の時代の子には分からんよなぁ。」

落語というのは、いつの時代もこのような悩みと葛藤を抱えながらも、350年続いてきました。

それはどの時代にも、落語を学びたいと思ってくれる人がいて、「自分もやりたい」と声をあげてくれる人が出て、新しい伝え方をしてくれているからなんです。だから今も続いています。

 

また、私は噺家としての活動以外にも、新聞のコラムやエッセイの連載、コピーライターとしての活動も行っています。

三洋電機株式会社さんのコーポレートスローガンとして作成した『人と・地球が大好きです』(※2005年6月まで使用は、“人”と“地球”を並列して使用した日本で初めての環境優先型コピーと言われ、高く評価してもらいました。後に多くの方にパクられましたけどね(笑)。

 

さらに、日本のジェンダー問題にも早い段階から研究を進め、講演や啓発活動も積極的に行ってきました。

こういった経験がしっかりと自分の中で蓄積され、血肉になり、深みのある高座ができていたらいいなと思っています。

Q3. 伏見のココが好き!!

『伏見寄席』、次回は2024/7/27(土)に御香宮神社の参集殿にて開催します。

春の御香宮神社は、梅がキレイに咲いています。

上方落語の演目から見えてくる伏見と京都の境界線

 

私の生まれは京都市中京区です。伏見へ行くには少し距離があり、文化的背景も違うので、同じ京都でも別の都市のような感覚があります。

『三十石』(さんじっこく)という上方落語の演目があるのですが、これは、主人公二人が京都見物からの帰路、伏見街道を下り、寺田屋の宿場町から三十石の船に乗り、大坂へ帰るまでを描いた噺です。

この噺では、京都と伏見を切り分けて表現されていたので、私自身もそんな風に感じてしまうのかも知れません。

 

また、私には子どもが3人いてるんですが、下2人は男の子で中学からラグビーをやっています。高校は成章高校に通っていたので、伏見工業高校とはずっとライバル関係でした。

だから個人的には、伏見はライバルというイメージもあります(笑)。

Q4. オススメのお店・場所

伏水酒蔵小路では日本酒の飲み比べができます。皆さんもぜひお試しください!

寺田屋跡地。昔はこの辺りで、坂本竜馬の格好した人をたくさん見かけました。

日本酒と歴史の街ならではの伏見の思い出

 

伏水酒蔵小路』の名物、17蔵の利き酒セットには感動しましたね。伏見の地酒が、20mlずつの小さなグラスで提供されます。酒好きの方にオススメです。気に入ったやつをおかわりしたらいいんですが、3つか4つ目にはどれがどんな味やったか、分からなくなりますけどね(笑)。

 

それと、昔取材の仕事をした時に、寺田屋の近くで坂本龍馬の格好をした人が3人くらい歩いてたんですよ。あれは印象的でしたね。今はそういう人、歩いてないんですか? もったいないですね~。坂本龍馬の格好した人が10人くらい歩いてたら絶対におもしろいですよ。龍馬のきぐるみもいいんちゃいますか。伏見が注目浴びるきっかけになると思います。

Q5. 今後の目標

メキシコの日本語学校での公演風景。

メキシコの日本語学校の学生の皆さんとの集合写真。

伏見区活性化のための新たなビジョン誕生!

 

まずは、伏見寄席の年3回開催を定着させることです。

そして伏見区で定席寄席を行える場所を新たに作りたいですね。伏見区長や近隣の商店街の理事長の方々にも声をかけて、空き場所を寄席小屋として利用促進するために協力を仰げたらと思っています。

 

それと、坂本龍馬コンテストをするのはどうでしょうか? 日本全国から坂本龍馬の格好をした龍馬ファンが伏見に大集合するんです。絶対おもしろいですよ。観光誘致にもなると思います。

 

突然切り合いが始まるといったフラッシュモブ的な演出も入れましょう。台本書きますよ。伏見を幕末にタイムスリップしたような体験ができる場所にしたらいいと思います。

Q6. まいぷれスタッフ独自調査中!最後の晩餐に食べたいものは?

某女子大での授業風景。

文也さん手作りの、からし菜の漬物とじゃこ山椒の佃煮。

趣味は料理。最後の晩餐はやっぱり自家製で!

 

自分で漬けた漬物と自分で炊いた佃煮で作るお茶漬けですね。料理は、1日3回、365日、全部自分がします。

 

山椒を使って佃煮を炊くのが趣味で、鍋から汁がなくなっていく姿を見るのが好きなんです。

人からもらったものは絶対に食べないです。砂糖を使った甘い佃煮なんかもってのほかですからね!

【編集コメント】

 

『伏見寄席』の打ち上げで思い切って伏見人の取材のオファーをしたところ、快く引き受けてくださった文也さん☆ 落語の楽しみ方を教えて頂いたので、次回はぜひ演目のあらすじを勉強してから鑑賞させて頂こうと思います!

 

文也さんがあの名コピー「人と・地球が大好きです」を作られたと知って大興奮しました! エッセイやコラムの仕事もされていて、まさに私の理想の働き方を実現されています☆私にとっては、物書きの師匠! なので、これからは『師匠』と呼ばせて頂きます!

(取材 さおしー)

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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