伏見人
時代の風を読み、うちわ・扇子業界の未来を切り拓く二代目・三代目さん☆彡
本日の伏見人は、株式会社伏見上野旭昇堂の上野友輔さん・裕子さんお二方のご登場です。
京阪本線龍谷大前深草駅から徒歩5分、市バス竹田久保町から徒歩4分という交通の便のよい市街地に、株式会社伏見上野旭昇堂さんの姿が見えてきます。
取締役・部長の友輔さん、取締役の裕子さんのお二人に、じっくりお話を伺いました。

春夏秋冬を描いた都うちわ 向かって左:春「醍醐」 右:夏「平安」

都うちわ 向かって左:秋「清滝」 右:冬「嵯峨」
(友輔さん)
うちわの製造販売の会社としてスタートしました。現在はうちわだけでなく、お扇子、そして冬場はカレンダーの製造販売をしております。
(裕子さん)
元々先々代が滋賀の土山で家業を立ち上げ、その後京都は七条の地に移ってきました。やがて七条のほうから分かれ、伏見店としてここに本社を構え「伏見上野旭昇堂」を名乗り、いま53期を迎えています。
(友輔さん)
直営店は持たず、主に企業さん等からうちわに名入れまでして納品させていただくお仕事が多いですね。
お祭りやキャンペーンで名刺代わりに配るうちわ等も、プラスティックの柄のものが多いですが、再生プラスティックを用いています。
竹の柄でつくらせていただくと、みなさん持ち帰ってくださるので、そういうご提案もしています。

高級旅館や料亭でおなじみの、杉柄 総彫 都うちわ
四季ごとに出している分厚いカタログを前に説明していただきました
(裕子さん)
大切にしているのは「うちわや扇子を用いて、生活にゆとりとやすらぎを」という考え方です。
また、お扇子・うちわの企業として、業界トップを目指しております。
(友輔さん)
販促品も請け負っており、大ロット・大量注文にも、納期の厳しいご注文にもしっかりご対応させていただいています。
既製品のお手頃価格の製品などは中国の工場で、京扇子・京うちわについては国内製造、というふうに両輪で運営させていただいています。
(裕子さん)
先代からスタートしたのですが、コンビニや量販店等で販売されているようなキャラクターうちわも手がけています。版権を取らせていただき、製造販売しています。
最初、映画の東映さんに話を持ちかけ、そこからその他大手ブランドにも徐々に広げてきました。

大うちわ(尺3丸柄万月 祭 赤地)やコンサート用ジャンボうちわ等も制作しています

オリジナル不織布カレンダー
(裕子さん)
京都に昔からある絵柄のうちわも種類がとてもたくさんあり、伝統的な絵柄を用いたホログラム製品などもつくっています。京都の老舗旅館・料亭さんからのご注文もあり、お客さまにお持ち帰りしていただけるようにと、置いてくださっているものもあります。
これだけの種類をつくっているところはあまりないと思います。
日本に昔から息づいてきた季節感を大切にしながら、快適さを追求してきました。
温暖化の影響で、季節が前倒しになっていますが、季節感と快適さが両立できるように考えています。京都でもホテルや旅館は暖房を強めにきかせているところが多いので、かえってお扇子は年中持つという方も多くなっていますね。
(友輔さん)
裏面に名入れするものも、小ロット・短納期を心がけています。お取り引き先は長年お付き合いのあるところが多く、かつては地元西浦町のお祭りでも受注させていただいていました。
北海道から九州まで全国展開しているので、ねぶたのうちわや仙台の七夕、祇園祭の鉾町からのご注文などもいただいています。
というのも、先代が本当にうちわを担いで全国に行商に行っていたんです。東京行って戻ってきて、京都駅で荷物を入れ替え、そのまま今度は九州へ、といった、そういう行商です。そのつながりでご縁をいただいてきました。
(友輔さん)
伏見生まれ伏見育ちです。
伏見は大通りは車も多く賑やかだけれど、一歩中に入ると静かなところで暮らしやすいですね。
(裕子さん)
大阪から伏見に嫁いできて、もう伏見は長いです。
伏見は昔の城下町ですよね。それなりに落ち着いているところもあり、太閤さんがつくった真っ直ぐな道が多くて整備されていますし、住みやすいですね。
どこに出て行くにも便利なのもいいと思います。
(友輔さん)
鳥せい 本店さんにはよく行きます。
洋食屋コートレットさんの系列のお店も好きですね。スイーツが好きで、NAYAMACHI DONUTS 君に、あげるさんにも行きますね。
あとは藤森のショコラ・フランス屋 伏見店さん。古くからあるお店です。
(裕子さん)
寺田屋の前から水路の辺りが好きです。桜の季節は本当に美しいですよね。お盆のときに精霊流しもされます。
醍醐寺の三宝院さんはお花のお家元なので、学生の頃からよく来ていました。今も行事のときなどには立ち寄らせていただいています。

ヘルシーでカラフルな「NAYAMACHI DONUTS 君に、あげる」さんのドーナツ
伏見人にはおなじみの「ショコラ・フランス屋 伏見店」さん

地元伏見人にも愛される風景

枝垂桜が美しい春の醍醐寺
(裕子さん)
伏見は放置竹林が多い地域です。元々うちわも扇子も真っ直ぐな真竹を使ってきましたが、この辺りの竹林はほとんど孟宗竹です。なんとか孟宗竹を使えないかと試行錯誤し、さまざまな試作もしています。
元々伏見には「深草うちわ」がありました。それにヒントを得て、「伏見うちわ」という新しい「都うちわ」をつくりたいと、頑張っています。
(友輔さん)
京うちわの伝統工芸士を名乗れる方は2人しかいません。そのうちのお1人に試作うちわをつくっていただきました。
骨は細かいものは80~100本。何がむずかしいと言って、骨を等間隔にというのは大変なんです。
仮張り、その後念付け。昔は半月の刃物でパンと落としていましたが、今は型で抜いていきます。その型も別館にあり、作業しています。
いちばん手がかかるのが、この周囲の4ミリ幅の紙を前後ろぐるっと巻いていく、へり取りという作業です。職人さんの高齢化が進み、みなさん廃業されていきますが、近い将来困らないよう、ちょっとずつ内製化しています。社員もパートさんもへり取りはできるようになっています。
また、ネット販売はすでに手がけていますが、さらにそちらを向上させて、海外展開も進めていきたいと考えています。自社製品のブランド化を目指しています。

「E-TOKO深草 meetup!セミナー」では子どもたちにうちわづくりを体験してもらっています

細かい骨の上に紙を貼っていきます
都うちわの繊細なつくり。竹の種類、職人さんの腕など複数の要素で出来栄えが変わります
(友輔さん)
美味しいケーキかなあ…。
(裕子さん)
美味しいいちごとメロン!(即答)
【編集コメント】
伏見上野旭昇堂さんのうちわ・お扇子というと、粋で雅な伝統的図柄を思い浮かべていましたが、もちろんそういうものも多数ありつつ、きわめて現代風の作品、時代の風に乗ったうちわも取り揃えておられることに驚きました。
お二人にお話を聞いていると、過去を大切にしながら、視線は常に二歩先三歩先を見て、舵取りをしておられることがよくわかりました。広い視野、卓越した事業センス、地元伏見への深い愛情など、たくさんの大事なことを感じとりながら、楽しくお話を伺いました。
放置竹林という地域課題に向き合ったお取り組みは、こういうのを本当のSDGsというのだと感じました。
取材中のご様子からも、仲のいい親子さんなんだなあと感じられるのがとても微笑ましかったです。
「うちわや扇子を用いて、生活にゆとりとやすらぎを」ということばにハッとさせられましたが、自分もそういうことを心がけて暮らしていきたいものです。
(取材 ナッツ)
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